
さすがにこの映画は社会現象になってしまったのでスルーする訳にはいかないでしょう...という事で、久々に音楽関係の映画を取り上げます。昨年公開されて最近まで劇場公開され続けてロングランになった、クイーンのフレディ・マーキュリーにスポットを当てた作品「ボヘミアン・ラプソディ」を今回はチョイス。
この映画は製作前から色々と話題があった作品で、製作決定したにも関わらずフレディ役の俳優は誰にするのかで揉めて、音楽プロデューサーのブライアン・メイとロジャー・テイラーがサシャ・バロン・コーエンで決定したという話が、映画の方向性での食い違いでサシャ・バロン・コーエンは降板、加えて監督も降板するというカタチになった時はもう製作出来ないんじゃないか?と思った。
そもそもサシャ・バロン・コーエンのチョイスには私的に全く納得してなかった。「ボラット」を観て下品な人だなと思ってたし、そういうタイプの人がフレディ・マーキュリーを演じられるのか?と疑問だったので、降板と知った時は正直ホッとしたくらいだ。
監督も交代し、話が二転三転してなかなか製作が進んでないみたいだから気長に待っていよう...と思い、やっと公開が決まったのにそれほどの待ち侘びた感が無かったのは半ば諦めの方が強かったからなのかもしれない(苦笑)。主演のラミ・マレックのフレディ姿を見た時も、似てる似てないは別としても何かフレディにしては線が細いなあ~という感じで、余りピンと来なかったし。
こういった伝記映画は本人に似てる事を一つのポイントとして観る人もいるけど、正直いって私は余り気にしてない。本人とは別人な訳だし、もっと似てる人を...と思ってもそうそう見つけられる訳でもないし、仮にそっくりさんが出ても演技が大根なら目も当てられないので、雰囲気さえ似てれば基本OKで捉えてる。
だけど実際に映画を観て驚いたのは、雰囲気は勿論の事その仕草や動き方まで本人かと思わせるほどの演技。これは相当努力したんじゃないかと思った。実際にラミ・マレックはクイーンの事をそれほど知らなかったみたいで、まずはムーヴメントコーチと呼ばれるスタッフと一緒にフレディがどんな動きや喋り方をするのか構築した...とブルーレイの特典映像で語っている。
また他のキャストのチョイスが絶妙で、ロジャー・テイラーはともかく、ブライアン・メイとジョン・ディーコンはマジで似てた。特にブライアン・メイ役の方は本人に「自分かと思った」と言わしめるくらいだし、ステージで小走りする細かい動きまで似てるのが笑った。後は悪名高いポール・プレンターもそっくりだし、ジム・ハットンも激似。ボブ・ゲルドフなんかマジで本人か思った(笑)。
内容に関しては賛否両論で、特に実際の史実とのズレが問題視されていて、ブライアン・メイ自身がこの映画はドキュメンタリーではないし、2時間の映画で史実を組み立てるのは難しいので幾つかの出来事を圧縮したりずらした事を許可した...という事なのでコレはコレで良いと思う。確かにクイーンの歴史は長いし、映画で描かれなかった事も山ほどあると思うけど、基本的な部分はちゃんと描かれているので気にはならなかった。でも、クイーンを最初に認めた国と言われる日本の話はちゃんと入れて欲しかったなあ。ライブシーンは実際に撮影されたみたいだし。
後は同性愛の要素が足りないとか、単にバンドのストーリーをなぞっただけとか言われてるみたいだけど、個人的には上手くまとまっていた思うけどなあ。某巨大掲示板などでよくアンチが騒いでるけど、じゃあそのアンチが何をもってこの映画を批判してるのか?という理由を全く書いてないでただクソ映画とか言ってるのはマジでアタマ悪いんじゃないか?と。単にかまってほしいだけじゃねーのか??ちゃんと何処がダメなのか指摘してくれるとまだ話は分かるんだけど。
個人的にはライブエイドで終わる構成で良かったと思う。実際にライブエイドでの評価は当時の批評で10点満点中10点取ってるし。ボブ・ゲルドフが「地球規模のジュークボックス」って表現してたけど、正にそんな感じで他のミュージシャンの評価を全て上回るパフォーマンスだったのは間違いないと思う。コレはリアルタイムでライブエイド観てた時も思った事だし。
更に驚いたのが、この映画が公開されてからの反響。ロングラン上映になったのは従来からのファンは勿論の事、クイーンを知らない世代がこの映画を観て素直に評価して、何度も映画館に足を運ぶ事になったのが原因らしい。確かに今の時代はこういった大物ミュージシャンが殆ど存在してないので、世界的な知名度を誇るバンドがこういう映画を通して再評価を得られるというのは音楽好きには素直に嬉しい。この映画を受けて他のミュージシャンも伝記映画を作るんじゃないかな。デヴィッド・ボウイやプリンスなんかは普通に作りそうだし、ストーンズはバンドが終わってから作りそうだし。
個人的に好きなシーンは、バンドが初期の頃にレコーディングにお金を掛けられないからといってスタジオでドラムの上に小銭置いて音を変えたり、アンプ吊るして左右に振ったり色んな事を試してプレイしているシーンや曲作りの流れ。実際にあんな感じだったんだろうし、「BOHEMIAN RHAPSODY」でのロジャーのコーラスなんてホントにあんな感じだったんでしょうね(笑)。
この映画の余りの反響の大きさに、この後のフレディの出来事も映画化するか議論されているらしいけど、個人的にはそれは止めてほしいと思う。辛い部分がかなりクローズアップされるだろうし、この映画で綺麗にまとまったのを台無しにする可能性もあるので意味合いが変わってくると思うし。それなら、実際のクイーンのドキュメンタリーを観てもらった方が伝わりやすいんじゃないかな?
最後のエンドロールの部分で「THE SHOW MUST GO ON」が流れるけど、個人的にはこの曲よりも「GOD SAVE THE QUEEN」で締めてもらった方がしっくりくる様な気がしたけど、実際に映画を観た方達はどう思うだろうか?
「予告編」
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