先日、いきなりソロでの初来日公演が発表されたスティーヴン・ウィルソン。
正直言って、この人のソロ来日公演が観られる日が来ようとは夢にも思わなかったなあ。何故なら、あの伝説のウドーフェスにポーキュパイン・トゥリーで出演して色んな意味で失望したと言われてたのに、めげずに今度は初のソロ公演ですよ。実際にこの人が日本でどれだけ売れてるのか分からないけど、私が大好きな3rdアルバム「THE RAVEN THAT REFUSED TO SING」(邦題:レイヴンは歌わない)辺りから少しメディアの露出が増えてきた感じで、それと比例する様に作品毎に良作を発表している印象を受けると同時に、本国イギリスではあのロイヤル・アルバート・ホールを3日間ソールドアウトにするくらいの勢いを持つ様になった。

それと比べるのもおこがましいけど、日本はまだまだマイナーな存在で名前だけ聞いてピンと来る人は相当マニアックな方達かと。「ポーキュパイン・トゥリーの~」と付けると分かる人は多そうだけど、それでもマイナーだからそんな人が日本でソロ公演なんか演って大丈夫だろうか?と余計な心配をしてしまう。
私はこの人のライブは観たいと思ってたので、直ぐに友人のtaroサン&めそ子サンを誘ってライブに行く事にしましたよ。早く11月来ないかな~?...ってまだまだ先の話だし、その前には後日発表されたマリリオンの再来日公演もあるので今年の秋はマジでワクテカが止まらない!

今回はそんな彼の最新作である「TO THE BONE」をチョイス。発表は昨年でしたね。

ベーシックとなる基本的な路線は変わらないのだけど、アルバム毎に色んな試みをしているので発表する度に色んな印象を与えてくれるミュージシャンなんだけど、今回は彼が思うところのポップミュージックを全面に押し出した作りとなった。
ポップといっても、ベタなポップではなくあくまでも彼ならではのポップミュージックな部分というのがポイント。リリース前のインタビューでは彼が若かりし頃に聴いてたピーター・ガブリエルやケイト・ブッシュ、ティアーズ・フォー・フィアーズやXTCなどの作品を挙げてそれらの作品を最近聴いて影響されたという話を読んだけど、このアルバムを聴いてると言ってる意味が分かると思う。
なので、過去の作品群と比べると取っ付き易さはこのアルバムが一番すんなり耳に入ってくる感じかと。

彼はよく「現代のプログレミュージシャンの一人」的な存在で扱われているけど(私も前作のレビューで似た様なニュアンスで書いたけど)、確かにプログレ界隈のミュージシャンをバンドメンバーに使うし、彼の音楽自体もプログレのフィーリングに近いモノがあるので間違ってはいないと思う。だけど、彼自身も言及している様に「プログレが好きなファン自体が全然プログレじゃない」という感じで、一つのジャンルに拘ったお陰で盲目的になる事に危惧を感じて自身の音楽にボーダーレスを目指してるスタンスは、どちらかというプログレのミュージシャンというよりはデヴィッド・ボウイやプリンスに近いモノなんでしょう。今回のこのアルバムを聴いて、ちょっとその辺を誤解してたと思ったな。

このアルバムが彼のコアなファンにはどの様に捉われるのか興味があるけど、私にとっては全く期待を裏切らない素晴らしいアルバムだと感じた。これでライブが非常に楽しみになったと同時に彼の音楽に興味を持つ人が少しでも増えてくれると良いなあ。流行り廃りとは全く関係ない、自身の音楽を様々な角度から追求するその姿は本物のミュージシャンとして次の作品が楽しみになってくるんだよね。


「TO THE BONE」


「PARIAH」
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HAND. CANNOT. ERACE. / STEVEN WILSON


結構前に発売されていたけど、なかなか手に入れる機会がなく(ええ、お金が無いという事です/苦笑)ずっと先延ばしになってた、ポーキュパイン・トゥリーの親方スティーヴン・ウィルソンの新作「HAND. CANNOT. ERASE.」をようやくゲット出来ました。
前作「THE RAVEN THAT REFUSED TO SING」(邦題:レイヴンは歌わない)はホントに大好きなアルバムで、この新作も非常に楽しみにしてたのだけど、この人の音楽を聴く時は自分の中でちょっと”その気”にならないと聴く気分にならないという感覚があるんで、発売されてからちょっと間が空いてしまったと。まあ、その間に色々と聴きたいモノがあったし、ちょうど良いタイミングで手に入れられたかなと。

前情報で知ってたのは、イギリスで38歳の女性が孤独死から3年後に発見されたというニュースにインスパイアされて製作されたという事だけだったけど、こういう明確なテーマで作品を作り上げる事にこの人は余り縁のない事だと思ってたんで、ちょっと意外に思えた。
この人とも何かと縁のあるマリリオンが「BRAVE」を作った時も、イギリスの高速道路で彷徨ってた少女の身柄を確保したニュースからインスパイアされて製作された事があったけど、マリリオンの場合はそれがコンセプトアルバムとして発展していったのに対し、このアルバムからはそこまで明確な視点は余り感じられなかったな。少なくとも対訳を読むだけでは。
孤独死した女性をテーマにするって、その女性がそれまでどんな人生を歩んできてそういう状況になったのか?なんて、余程身近な存在の人にしか分からない事だし、その女性がどんな心境だったかなんて知る由もない訳で、そこは想像力でカヴァーするしかない訳だから明確なモノが見えてこないのかな?と思ったりしたけど。実際に、彼女をテーマにした映画も製作されたらしいけど、どんな内容なのかちょっと気になるなあ。

しかし、音楽性に関しては、前作も素晴らしい構成だったけど今作も負けてない。雰囲気が前作は結構内省的だった印象に対し、今回は外に打ち出していく様な印象を受けた。また前作よりも幾分ポップな印象も受けたけど、テーマがテーマだけにちょっと違和感も感じたな。
それに、本人が語った「今までの自身の活動の集大成」的な意味合いもよく分かる内容で、これじゃ暫くアルバムを出していないポーキュパイン・トゥリーはもはやいらないのでは?とすら思ったくらいだ(本人は「PTをやる時間がない」と語ったらしいけど)。
お気に入りは、何と言っても13分の大作「ANCESTRAL」。大作の割りには、余り長さを感じさせない構成にはホント圧巻の一言。あと何処か物寂しげな印象を植え付ける「PERFECT LIFE」や、彼にしては珍しい明るくポップな雰囲気の「HAND CANNOT ERASE」あたり。だけど、このアルバムは1枚丸々通しで聴くのがインパクトあると思う。
あと今回は音質が素晴らしく良いので、音を聴く環境が整ってる方は出来るだけ良いフォーマットで聴く事をお薦めしたい。音質に余り拘らない私だけど、この作品に関しては良いフォーマットで聴いたら凄いんだろうなあと思わせるモノを感じたので。

しかし、今年はホントに傑作アルバムが多い年になった。このアルバムも間違いなく今年のベストアルバムの一つになりえる作品かと。今現在のプログレ界隈のミュージシャンで、最も優れた音楽性を持つ人物なのではなかろうか?いやあ、恐れ入りました。


「PERFECT LIFE」


「ANCESTRAL」

レイヴンは歌わないレイヴンは歌わない
(2013/02/27)
スティーヴン・ウイルソン

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しっかし前回の台風といい、今日の大雨といい、秋の長雨とはよく言ったモノで...昨日が出勤日だったので、洗濯を昨夜のウチに終わりにして部屋干しで乾かすのがホント面倒で。一人暮らしに乾燥機なんぞ絶対に入らないモノだし、かといってその為だけにコインランドリーに行くのも何だかなあ...ま、その代わり今日は十分ダラダラ過ごせるから良しとしないと(そう思わないとやってられません)。

平日は仕事疲れが溜まってしまうので、ここ最近の更新が遅れてしまうのが難点なんだけど、それ以外にも結構聴くモノも大分偏ってしまい、過去作ばっか聴いてるお陰で以前レビューしたモノばかりだったりするのでレビューが書けないのだ。まあ、逆を言えばそれだけ新作をガンガン聴き倒すという事がないという事でもあるけど(最近じゃドリーム・シアターとサウンド・オブ・コンタクトくらいか?)。

しかし、それらも凌駕する凄いモノが出て来てしまった。それが今回のお題であるポーキュパイン・トゥリーの総裁:スティーヴン・ウィルソンのソロ3作目「THE RAVEN THAT REFUSED TO SING」(邦題:レイヴンは歌わない)。

いつの間にかポキュパが活動停止となっていてソロに重点を置いてる活動となり、また色んなプロジェクトに参加して、他にもキンクリやジェスロ・タルなんかのリマスター作業にも力を入れており、精力的というより単にワーカホリックじゃねーの?と思わせる活動を行なってる人だけど、正直いってポキュパから外れたらよりマニアックな方向へ向かって行くのでは?と思っていたので、そんなに注目はしていなかった。

このアルバムも今年の2月に発売されたモノだけど、ジャケットは何だか”ムンクの叫び”みたいだし(苦笑)何処となくインディーっぽい雰囲気が漂っていて興味は余り惹かれなかったのだけど、最近久しぶりにポキュパの「IN ABSENTIA」を聴いてこのソロ作も思い出し、そーいやソロ作の音は一度も聴いてないな...とYOU TUBEでこのアルバムに入ってる「DRIVE HOME」のPVをチェックしたのがマズかった(笑)。

もう一発で心持って行かれましたよ。PVがクレイアニメってだけでかなりポイント高かったのだけど、ピングーみたいに雑ではなくもっと丁寧に作られてて(もしかしてCG?)またこの話の内容が泣かせる!曲は最初物寂しいメロを淡々となぞっていく感じで、中間部からエンディングにかけてのギターソロがまた凄い。

CDがどーしても聴きたくなったので、チェックしてたらちょうどアマゾンで国内盤が約¥600引きで売られていたので即ポチったという訳。ついでにこの「DRIVE HOME」のPVが収められたブルーレイも発売されるとの事なので、こっちはHMVでポチってみた。早く届かないかな?

で、昨夜CDが届いたんで早速聴いてみると、これまたアルバム全編に渡って素晴らしい楽曲の数々。全体的にはやはりキンクリの影響が強く感じたけど、内省的な雰囲気はピンク・フロイドそのものだし、過去のプログレバンドの良いトコ取りをして、尚且つ自分の個性を打ち出しているという正に理想的な作品に仕上がっている。
またこのアルバムは非常に音が良く、プロデューサーにはあのアラン・パーソンズを起用している。セルフプロデュースもこの人なら十分可能だろうけど、自分の作品を客観的に見られないとなるとやはり他人の意見も聞いておきたいんだろうなあ。

私的なベストチューンは「THE WATCHMAKER」(邦題:時計職人)。自身のリマスター作業を振り返っての言葉らしいけど、こういう緻密な音世界を作り出すだけでも十分凄いのに、さらに拘りを見せて集中し新たな音像を作り出し続けるのは本当に根気の入る作業ではなかろうか。現代のプログレシーンを牽引しているのは間違いなくこの人でしょう。

いやはや、ホントに恐れ入りました。暫くはこの音から抜け出せそうもない感じ(またレビューが遅れる.../苦笑)。昨年のアナシマもそうだったけどいきなり自分の耳に飛び込んできて、それが耳から離れないのはホントに衝撃を受けてる証拠なんで、これは間違いなく今年一番の衝撃作かも。...ヤバい、過去作揃えてみたくなったぞ。


「DRIVE HOME」PV↓
http://www.youtube.com/watch?v=ycYewhiaVBk


「THE WATCHMAKER」ライブ↓
http://www.youtube.com/watch?v=2Hp6lYx4Fvw

「THE RAVEN THAT REFUSED TO SING」PV↓
http://www.youtube.com/watch?v=n8sLcvWG1M4