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最近は久々にザ・スミスを聴いてるんで、今回は彼等のラスト作となった「STRANGEWAYS, HERE WE COME」をチョイス。発表は1987年。

80年代の英国で最も重要なバンドと評された彼等の音は聴きたくなる時があると結構集中して聴く事が多いんだけど、このバンドの曲はホントに奇妙なモノばかりで(笑)私自身も何でこんなにも長い間聴いてるのだろう?と首を傾げたくなるんだけど(苦笑)好きなモノには理屈なんかいらないという事なんだろうか?

このアルバムはオリジナルアルバムとしては通産4作目にあたるモノで(コンピ盤を入れると6作目)短い活動期間にしては意外と多作だったと思うけど、如何せんこのアルバムはリリース当初から余り評判がよろしくない。何故かというと、リリース前からバンドに関して何やら胡散臭い話ばかり聞こえてきて、結果としてリリース前にギタリストのジョニー・マーが脱退したのを切っ掛けに、バンドは後任を探して活動を続けると宣言したにも関わらず、結局見付ける事が出来ずに解散という道を選んだと。
今の時代みたいにネットが普及してる訳ではない時代だったので、これらの話は結構遅れて音楽雑誌で紹介されて知ったのだけど、そんな時期に新作を作っても良いモノが出来るハズもなく、彼等にしては中途半端な作品になってしまったという感じ。

でも、それはあくまでも”彼等にしては”という評価であって、実は意外とこのアルバム気に入ってます。これも大した理由はないんだけど、今思うと初期の彼等は孤独だの惨めな生活や現実などに目を向けていたのに、「THE QUEEN IS DEAD」あたりから少しづつ世界観が変わってきて、このアルバムでは明らかに違う方向性を目指して作られたモノなんだなと感心してたんだけど、これが従来のファンから失望を買う事になってしまったという皮肉な結果になってしまったと。しかもその方向性に我慢ならずに脱退したジョニー・マーが身を持って証明した訳でもあるけど。

またこのアルバムは自身よりも他人がテーマとなってる楽曲が多いのも顕著で、「A RUSH AND A PUSH AND THE LAND IS OURS」では首を吊って自殺した幽霊が淡々と語ったり、「GIRLFREIEND IN A COMA」なんてタイトル通り昏睡状態の彼女の事だったり、「DEATH OF A DISCO DANCER」もまた然り。こういう部分も疎かな雰囲気を感じてしまうんだけど、私は何故か面白い題材引っ張ってきたなあ~と思って聴いてたけど。

勿論、音の方にもその疎かな雰囲気は感じられて、いつもの彼等ならもっと引っ掛かるモノがあるハズなんだけど...と思ってるウチにアルバムが終わってしまう(苦笑)。「DEATH OF A DISCO DANCER」なんてプログレっぽい雰囲気で意外性ありすぎだし。キャッチーなのはシングルになった「STOP ME IF YOU THINK YOU'VE HEARD THIS ONE BEFORE」くらいなモノかと。それでも昔の彼等じゃこういう曲は作れなかったと思うな。

元々モリッシー自身がかなり面倒くさい人物なんで(笑)他のメンバーとも徐々に溝が深くなってしまったんだろうし、バンドが大きくなりすぎて音楽だけ追求するって事自体がもう限界だったんでしょう。メンバーのドラッグ問題もあったし、レコード会社の移籍騒動もあったし、解散という結果をバンド自身が望まなくてもそういう要因がゴロゴロ転がってる状況じゃ、クリエイティヴな作業なんて無理だろうし。

バンドの解散後に結構な数のファンが自殺するというニュースも当時はショックだったな。たかがバンドの解散で自殺なんて...って思うだろうけど、このバンドの歌詞に共感している人達は絶望しか残されてない状況に陥ったんだろうから、逆に理解しろという方が難しいんだろうけど、何も死ぬ事はないんじゃないかと。全く関係ない話だけど、野猿が解散して自殺した人に関しては全く理解出来ないし共感も出来ないな。

でもそのモリッシーは未だに歌ってるし、相変わらず自身の考えを歯に着せぬ言葉で発信している。このアルバムでの歌詞なんてシリアスどころかユーモアに感じる部分も多いし、前作の「THE QUEEN IS DEAD」だってスポンジとスパナを持って王室に忍び込む...なんてジョークみたいなモンでしょ?事の真相なんてそんなトコじゃないのに。
確かに初期の歌詞はモリッシーが感じてた事だろうけど、この辺りになると既に手馴れた感もあるし、少なくとも孤独と不幸と絶望を呪う様な人物ではないと思う。金持ちが貧乏な暮らしを歌う事自体が冗談みたいなモノだし、それを聴いてミュージシャンを崇拝するのもちょっと考えもんじゃないかな。

未だに再結成を望む声があるバンドだけど、この時代だからこそ意味のあったバンドだと思うし、今のモリッシーやジョニー・マーに同じ感性でパフォーマンスが出来るかと問われるとそれは絶対に不可能かと。なので、モリッシーやマーの選択は絶対に誤ってないと思うしポリシーがあって非常に好感が持てるけどなあ。


「STOP ME IF YOU THINK YOU'VE HEARD THIS ONE BEFORE」


「LAST NIGHT I DREAMT THAT SOMEBODY LOVED ME」
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AN INNOCENT MAN / BILLY JOEL (1983)

MOSAIC / WANG CHANG (1986)

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comment avater

某音楽馬鹿

スミスに関しては昔はモリッシーさんが若干苦手で当時は聴いてませんでした、活躍した時期が洋楽を聴き始める前だった事もあるし、結局廉価版ボックスが出るまで全作品通して聴いてなかったです。
実はジョニー・マーさんはかなり好きなんで、ブライアン・フェリーさんのPVに出たりしてた関係でファンになってその流れでスミスの方も普通に聴けるようになりました。
このアルバムは時代順に聴いてなかった事もあってラスト・アルバムだからという聴き方はしてなくて普通に好きな作品です、いかにもニューウェーブっていう感じの音も気に入ってます。
一番好きなのはライヴ盤ですけどね。

2018年07月29日 20:38

comment avater

K.A.E.

スミスは本当に好き嫌いがはっきり分かれますからね。間違いなくモリッシーの存在で(苦笑)。

私も最初は奇声上げてるゲイっぽいボーカルという認識でしたけど、歌詞読むとこの人凄い事歌ってるよなあ~と感心したくらいですし。マーのギターはホントに美しいという表現しかないですね。だからこそのアンサンブルなのかも。

なので、このラストアルバムで提示したモノが賛否起こしたのも「こんな中途半端な作品だからこそ次があるんじゃないか?」という見方と「もう全てやり尽くしたからこそ、こういう作品になったんじゃないか?」と見方で面白い解釈だと思います。私的には過去作とは違うモノだからこその面白さを感じてしまうんですけどね。

2018年07月30日 03:52

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