HAND. CANNOT. ERACE. / STEVEN WILSON


結構前に発売されていたけど、なかなか手に入れる機会がなく(ええ、お金が無いという事です/苦笑)ずっと先延ばしになってた、ポーキュパイン・トゥリーの親方スティーヴン・ウィルソンの新作「HAND. CANNOT. ERASE.」をようやくゲット出来ました。
前作「THE RAVEN THAT REFUSED TO SING」(邦題:レイヴンは歌わない)はホントに大好きなアルバムで、この新作も非常に楽しみにしてたのだけど、この人の音楽を聴く時は自分の中でちょっと”その気”にならないと聴く気分にならないという感覚があるんで、発売されてからちょっと間が空いてしまったと。まあ、その間に色々と聴きたいモノがあったし、ちょうど良いタイミングで手に入れられたかなと。

前情報で知ってたのは、イギリスで38歳の女性が孤独死から3年後に発見されたというニュースにインスパイアされて製作されたという事だけだったけど、こういう明確なテーマで作品を作り上げる事にこの人は余り縁のない事だと思ってたんで、ちょっと意外に思えた。
この人とも何かと縁のあるマリリオンが「BRAVE」を作った時も、イギリスの高速道路で彷徨ってた少女の身柄を確保したニュースからインスパイアされて製作された事があったけど、マリリオンの場合はそれがコンセプトアルバムとして発展していったのに対し、このアルバムからはそこまで明確な視点は余り感じられなかったな。少なくとも対訳を読むだけでは。
孤独死した女性をテーマにするって、その女性がそれまでどんな人生を歩んできてそういう状況になったのか?なんて、余程身近な存在の人にしか分からない事だし、その女性がどんな心境だったかなんて知る由もない訳で、そこは想像力でカヴァーするしかない訳だから明確なモノが見えてこないのかな?と思ったりしたけど。実際に、彼女をテーマにした映画も製作されたらしいけど、どんな内容なのかちょっと気になるなあ。

しかし、音楽性に関しては、前作も素晴らしい構成だったけど今作も負けてない。雰囲気が前作は結構内省的だった印象に対し、今回は外に打ち出していく様な印象を受けた。また前作よりも幾分ポップな印象も受けたけど、テーマがテーマだけにちょっと違和感も感じたな。
それに、本人が語った「今までの自身の活動の集大成」的な意味合いもよく分かる内容で、これじゃ暫くアルバムを出していないポーキュパイン・トゥリーはもはやいらないのでは?とすら思ったくらいだ(本人は「PTをやる時間がない」と語ったらしいけど)。
お気に入りは、何と言っても13分の大作「ANCESTRAL」。大作の割りには、余り長さを感じさせない構成にはホント圧巻の一言。あと何処か物寂しげな印象を植え付ける「PERFECT LIFE」や、彼にしては珍しい明るくポップな雰囲気の「HAND CANNOT ERASE」あたり。だけど、このアルバムは1枚丸々通しで聴くのがインパクトあると思う。
あと今回は音質が素晴らしく良いので、音を聴く環境が整ってる方は出来るだけ良いフォーマットで聴く事をお薦めしたい。音質に余り拘らない私だけど、この作品に関しては良いフォーマットで聴いたら凄いんだろうなあと思わせるモノを感じたので。

しかし、今年はホントに傑作アルバムが多い年になった。このアルバムも間違いなく今年のベストアルバムの一つになりえる作品かと。今現在のプログレ界隈のミュージシャンで、最も優れた音楽性を持つ人物なのではなかろうか?いやあ、恐れ入りました。


「PERFECT LIFE」


「ANCESTRAL」
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BEYOND GOOD AND EVIL / THE CULT (2001)

BELIFE / DARE (2002)

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comment avater

某音楽馬鹿

私も買いました(笑)、レーベル運営やプロデューサー業に忙しいのによく働く人ですよね。
まださらっとしか聴いてないんですが、ポキュパの方は活動してないみたいなんでこれが本業の方と思っていいんでしょうか、音楽的にも活動状況的にもどんどん地味になってる(落ち着いてきてる?)気がしないでもないですけど・・。
音楽性はピンク・フロイド系っていうかシド・バレットさんの匂いがそこはかとなく漂うんで「その気」にならないと聴けないっていうのは激しく理解できます。
アナシマの新作からの数曲もこの人のリミックス入ってましたね〜、何というか「自分の色」が強烈過ぎる人っていう感じで熱狂的なファンになるか拒絶するか極端に分かれてそうです(私は好きですが)。
ちなみに輸入盤なんでコンセプトアルバムだとは思いませんでした、確かにそれっぽいなぁとは思いましたが。
PVはオフィシャルなんですよね、最初シャンプーかコスメ系のCMかと思いましたけど。(笑)
いや、アルバムはすごくかっこいいですよ。

2015年06月28日 11:16

comment avater

K.A.E.

その気にならないと聴く気にならない...と言うのは、何か気楽に聴くスタイルではないと感じてるのかも知れないんですが、音楽聴くのに気楽に聴けないってのも結構微妙なモノですよね(苦笑)。まあ、先入観があるからこういう感じになってしまうのかも知れないですけど。

でも、メロディは相変わらず美しいし、この人の才能はもっと多くの人にアピールするべきだと思うんですよね。決して万人受けするスタイルではないですが、プログレ界隈の人達だけにしか評価されないのはホントに惜しいと思います。

あと、この人のワーカホリックはミキシング業にも表れていて、過去の名作のリミックスを結構担当している事から、後にミュージシャン業から引退しちゃうんじゃないか?という危惧もありますね。確かに綺麗な音作りを心掛けてるみたいだし。
まあ、まだまだ色んなスタイルの音を聴いてみたいと思わせる数少ないミュージシャンの一人なので、今後の期待は高まるばかりですね。暫くはヘビロになりそうです。

2015年06月28日 21:39

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